https://longeviquest.com/2026/10/koyu-morita-113-visit-jp/
「113歳になっとるの?」
長寿の秘けつをお尋ねすると、森田コユウさんは、まずご自身の年齢に驚かれた様子でした。
「はい、113歳でいらっしゃいます。」とお伝えすると、お嫁さんが「自分でびっくりしてんの?」と声をかけます。
「うん。」
そのお返事に、その場が和やかな笑いに包まれました。
2026年10月24日、私たちLongeviQuest(ロンジェビクエスト)は、大阪府内の存命最高齢者である森田コユウさんにお会いするため、森田さんが暮らす大阪府松原市の「特別養護老人ホーム きらきら」を訪問しました。
森田さんは、ご家族のお話に耳を傾けながら、ご自身のペースで言葉を返し、仕事や衣服づくり、自分の手で暮らしを支えてきた日々について聞かせてくださいました。
森田さんは1913年7月12日、岡山県に生まれました。19歳で結婚し、広島県福山市へ。戦時中にご主人を病気で亡くされた後は、農業や山仕事をしながら、3人の息子さんを育て上げました。70歳で大阪府松原市へ移り、次男のご家族と同居。編み物は100歳頃まで続けていらっしゃいました。
長寿の秘けつについて、森田さんはこうお話しくださいました。
「何もないわ。出来ることは自分でするようにする。それだけです。」
「自分に厳しい人だったんです。」
お嫁さんが言葉を添えます。
お話の中で、森田さんは何度も、自分でできることを自分の手で行ってきた暮らしを振り返られました。
「畑が少しあったから、畑でいろんなものを作って、食べて、やってきました。」
続けて、こんなお話も。
「お米は買いましたけど、醤油や酢や砂糖も買いましたよ。」
必要なものは買い、自分でつくれるものはつくる。それが森田さんの日々の暮らしでした。
「着物は自分で仕立てて自分で縫って着たり、色々やってきましたよ。」
布団も自分で縫い、綿を入れて仕上げていたといいます。
2026年10月24日、LongeviQuest(ロンジェビクエスト)の訪問で、穏やかな笑顔を見せる森田コユウさん。
森田さんが編み物を始めたのは、ご結婚前のこと。手袋や帽子など、さまざまなものをつくってきました。その手仕事は、編み始めるずっと前から続いていました。
「羊の毛を糸にとって、自分で染めて、そいで編んで。」
羊毛を洗い、染めたこともお話しくださいました。身につけるものができあがるまでには、いくつもの工程があり、その一つひとつを、ご自身の手で行っていたのです。
「身体がいうこと聞くだけのことはしましたよ。百姓もし、山仕事も。」
今はもうできなくなったとおっしゃる一方で、私たちにはこんな言葉をかけてくださいました。
「どうか、みなさんも自分でできることは自分でするようにしてやってください。」
「あなた方ならできます。どうかやってください。」
そして、教えてくれる年配の方が元気なうちに、いろいろなことを聞いておくようにと伝えてくださいました。
「できることは、人に頼らない、自分でできることを習って自分でやってください。」
知っている人に教わり、自分でもやってみる。その言葉には、森田さんが長年大切にしてきた暮らし方が表れているようでした。
訪問当時、森田さんは日本で6番目、世界で20番目のご長寿でした。
世界での順位をお伝えすると、
「20番?」
「まだまだ(上に)おられるのねぇ?」
と、驚かれたご様子。
「1番を目指してください。」と声をかけると、森田さんはにこやかに「いえいえもういいよぅ。」とお答えになり、ご家族から笑いがこぼれました。
その後も、
「20番目。そんな長生きしてるんですか?おかしいわぁ。」
と、不思議そうにお話しされていました。
「おかしい?ふつうに生きてるのにねぇ。世界でも20番目だって。」
お嫁さんが優しく語りかけます。
113歳になったことにも、さらに年上の方がまだ大勢いらっしゃることにも、驚いておられるようでした。
「森田さんの笑顔に、たくさんの方が元気をもらっていますよ。」とお伝えすると、「はっはっは。」と温かな笑い声を聞かせてくださいました。
森田さんは白内障のため、目がほとんど見えません。それでも、ご家族によると、手に触れると家族かどうかが分かるそうです。
ご挨拶で私が手を握らせていただくと、「優しい、小さい手。」と言ってくださいました。そのひと言に、私の緊張もすっとほぐれました。
ご自身が編んだものも、触れると分かるようです。編み物のベストをお見せすると、指先で生地に触れ、その感触を確かめていらっしゃいました。
LongeviQuest(ロンジェビクエスト)の訪問中、ご自身で編んだベストに触れ、編み地の感触を確かめる森田コユウさん。
長寿のお祝いにお持ちしたお花にも、お嫁さんの手添えで触れ、その感触を確かめていらっしゃいました。
「きれいなお花。」
「よかったね。」
お嫁さんが声をかけると、森田さんはうなずき、「飾ってください。」とおっしゃいました。
「うん、飾っておこうね。」
「ありがとう。」
そんな優しいやり取りが続きました。
お嫁さんに手を添えていただき、LongeviQuest(ロンジェビクエスト)から贈られたお祝いのお花に触れる森田コユウさん。
大阪府内の存命最高齢者であることをたたえる記念の楯もお贈りしました。
「ばーちゃんが大阪一になりましたっていう証拠や。」
お嫁さんが親しみを込めて説明し、目を開けてみるように声をかけると、森田さんは目を大きく開かれました。
お別れの時間が近づき、お話を聞かせてくださったお礼をお伝えしました。
「お話ができて、とても喜んでくださっているよ。」
お嫁さんが森田さんに伝えてくださいます。
「ありがとう。」
「また来年もお会いしたいです。どうぞお元気で。」とお声をかけると、森田さんはもう一度、「ありがとう。」と返してくださいました。
森田コユウさんと、LongeviQuest(ロンジェビクエスト)が贈呈した記念の楯、お祝いのお花。テーブルには、ご自身で編んだベストと毛糸のたわしも並びました。
訪問を終えて心に残ったのは、森田さんが何度も口にされた「ありがとう」という言葉と、お嫁さんやお孫さんたちが語りかける声の温かさでした。
お嫁さんは週に2回訪れ、そのたびに1時間ほどおしゃべりをされているそうです。お孫さんやひ孫さんたちも、少なくとも月に1回は顔を見せ、にぎやかで心和む時間を届けています。
皆さんと一緒に過ごされる森田さんのお姿を拝見し、ご家族の温かな関わりと「きらきら」での穏やかな暮らしが、日々のお元気と笑顔を支えているのだと感じました。
森田コユウさん、ご家族の皆さま、そして「きらきら」の職員の皆さま。このたびは温かくお迎えくださり、誠にありがとうございました。森田さんが、これからもお健やかに、笑顔あふれる毎日を過ごされますよう、心よりお祈り申し上げます。
訪問の様子を収めた動画も、近日公開予定です。どうぞお楽しみに。